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by mi_sky21

お片づけ。

秋の頃に写した写真を、一枚。
圧倒される美の中で、私はそこにいて、ただシャッターを押しただけ。
お片づけ。_a0158809_20424728.jpg


おじいちゃんが亡くなったあとのこと。お葬式にむかう前、おばあちゃんが部屋の片隅で、手書きで手紙を二通書いていたことを思い出した。ひとつは棺の中のおじいちゃんに、もうひとつは自分で後から読むようにとっておくのだという。何かぐっと、胸に突き刺さるものを感じた。

おじいちゃんやおばあちゃんは、話しているとそうは感じないけれど、文字を書くと古い字体や言い回しを用いたりする。そういう時、おじいちゃんやおばあちゃんの身体に宿った、私の知らない時代の日本と出会ったような気がして、まるで鮮やかな風景を見つけたような気持ちで、私の心はさわさわとする。

小さくて静かな、音を立てないところで、何気ないものたちが、いつも密かに輝きを放っている。それはまるで、ほたるみたいだ。

おじいちゃんが亡くなったとき、私は死んだのちに残されるもののことを考えた。小さな引き出しにしまわれた書類のようなものとか、いつも着ていた服だとか。家族や親友・・・ほんの僅かの人たち以外には、何の意味もなさないようなものたち。遺産といえるようなものをもたない私が死んだとしたら、後に残されたものたちを前に涙するほんのわずかの、私にとって大変に大きな意味を持つ存在が、たいくつな紙くずのような私の欠片に、何かしら、私の生きたことの意味を見つけていくのだろう。その、認識と浄化を、人は供養と呼ぶのだろう。

私の生きたあとのお片づけに深く関わる人たちをくすりと笑わせる何かを、まるでお茶目なお土産のように、私は残していきたい。
# by mi_sky21 | 2012-04-25 21:06 | 日々のこと